まめ知識 その18 「手打器で打つ時の注意」
金属は硬い順に、 ステンレス→鉄・真鍮→アルミ となっています。
ハトメに関しても例外ではありません。
なので、硬いハトメは柔らかいハトメより加工時に強い力が必要になります。
また、金属の量が多い(大きい・肉厚)ハトメは金属の量が少ない(小さい・薄い)ハトメより曲げる量が多いので
加工時に強い力が必要になります。
逆に言えば、柔らかく小さいハトメを打つ時に強い力をかけてはいけません!
ハトメというものは、打器の特殊な形状に沿わせて曲げていくものであり、必要以上の力でハトメを打とうとすると
ハトメの本来曲がる部分が曲がる前にそのまま潰れてしまいます。
例えば、25番のステンレスのアイレットを打った時と同じ力で、25番のアルミのアイレットを打つと、綺麗に曲がることなく単純に押しつぶされただけになります。
他に、45番の真鍮のアイレットを打った時と同じ方法で、23番の真鍮のアイレットを打つと、多分打器が壊れます。
(余談ですが、45番の真鍮のアイレットは力のある成人男性が1kgほどの木槌を渾身の力で3回振り下ろして打つことが出来ました…機械化した方がいいでしょう)
ところで、打器で打つ時のハンマーの素材も注意が必要です。
一般的な鉄の金槌でも問題ありませんが、打器自体が鉄でできているため、打器とハンマーがぶつかる部分が徐々にキノコのように変形していきます。
これは約10年かけて23番のアルミのアイレットを 約10万個金槌で打った打器です。 軽い力で打っているにもかかわらず ここまで変形してしまいました。 (えのき茸レベル?) より強い力が必要な硬く大きいハトメを 何度も金槌で打つとさらに大きく変形してしまいます。 (松茸レベル?) |
打器を長持ちさせるには、木槌やゴムハンマーを使うといいでしょう。
大きいハトメ(35〜45ぐらい)には木槌を、マジックペンの太さぐらいのハトメ(23〜30ぐらい)はゴムハンマーを、小さいハトメ(18〜21ぐらい)は小さいゴムハンマーや金槌を使うといいでしょう。
参考資料 高硬度材料との硬度比較
https://www.toishi.info/metal/hardness.html (一部改変) |