まめ知識 その21 「ファスナーのカーブをつけた縫製」
ファスナーをまっすぐに伸ばした状態で縫製することはそんなに難しくはないですが、鞄や間仕切りなどでファスナーにカーブをつけて縫製したい場合、単純ではありません。
まず、カーブをつけるとカーブの内側と外側では長さが変わってきます。(陸上競技トラックのインコースアウトコースを思い浮かべていただければ分かりやすいかと思います)
あらかじめ内側と外側の長さの違いを考慮したファスナーはありません。
外側の長さに合わせてファスナーを用意し、内側を絞って縫製するのはかなりの技術が必要かと思います。
ただし、いくら縫製される方の技術が飛びぬけて優れているとしても、カーブの半径(R)が小さいと、ファスナーをつけてみたもののスライダーが動かずファスナーとしての機能を果たさないこともあります。
よって、ファスナーを電車の線路の様に平面でカーブをつけることは、かなり難しいです。
カーブをつけたい場合は、平面ではなく1度ねじってカーブをつけて再度ねじって元に戻す方法が良いです。
これは、鞄の横20cmほどの前ポケットですが、さすがにこの大きさで平面でカーブをつけるのは不可能です。
そのため、ファスナーの始点と終点は正面を向いていますが、中間地点では上を向いています。
このようにファスナーがもともと曲がる方向に曲げてあげることで、カーブをつけた縫製が可能になります。
なお、このような取り付けにはコイルファスナーが扱いやすく、ファスナーは小さければ小さいほど、カーブは大きければ大きいほど取付はしやすくなります。
いずれにしても、それなりの高い技術力は要求されます。